事故が起きたのは 『何か魔がさした』とか、『運が悪かった』とかでは済まされないと思う。今回もやはりボクのミスから起こるべくして起こった事故だった。
10月11日(土曜)三連休の初日、だが台風19号が月曜には近畿にやってくる予報。
丹波篠山の黒枝豆の販売が数日前に解禁になった。
日曜日は家内の実家に行くので家内の両親にも黒枝豆を届けようと、わざわざミニリュック持参の黒枝豆買い出しサイクリングの予定だった。
家を出たのは9時ころだった。
普段のサイクリングでは渋滞を避けて、紫合(ゆうだ)から阿古谷経由で遠回りして12号線の屏風岩かもっと先の楊津までエスケープルートを走るのが常だった。
ところが今も自分でも良く解らないのだが、何を思ったのかこの日は混んでいる12号線をそのまま北上したのだった。
自動車学校のある、紫合北の町の信号から、12号線はやはりドライブの車で渋滞していてほとんど動かない。旧道に入れば良かったがそれもせず、車道の狭い処は歩道を走ったり、また広い処は車道を走ったりしながら道の駅を目指していた。
家を出て、ちょうど1時間弱。何時もは阿古谷回りで道の駅猪名川で最初の休憩をするのだが この渋滞では道の駅もそうとう込んでいるだろうと思い、屏風岩手前の北田原のコンビニで休憩しようと 車道からコンビニ駐車場入口の歩道の縁石の低くなったところから入ろうとしたとき前輪にガツンとショックを感じ左側に転倒してしまった。
歩道の縁石(おそらく2~3センチの段差)を斜めに越える際、気持ち前輪の加重を抜くアクションをして入ったのだが、一瞬、あっと思った時には左の肩甲骨あたりを大きな木づちで殴られたようなショックを感じ歩道に倒れていた。
何が起こったのかわからなかった。
左の背中を思いっきり打撲したようで息が苦しい。
人生60余年、骨折は未経験だが。これはヤバいなと感じ、恐る恐る左鎖骨を触るとやはり、歪な感じがし、折れていると確信した。
左手をかばいながら ゆっくりと起き上り、右手で自転車を起こし、コンビニの入口まで歩いて行く。
前輪のタイヤが30センチほどリムから外れてしまっている。『どうしてタイヤの接着が外れたんだろう?そんなに段差は無かった筈なのに?』
ちょうど女性の店員さんが出てくるところだったので、『すみませんが救急車を呼んで下さい』とお願いし、入口横に自転車を置き、地面に座り込んだ。
左肩と肘、小指の付け根に擦過傷を負ったようで『大丈夫ですか?血がにじんでいるよ』と言われた。
鎖骨は幸いにも開放骨折では無さそうで、折れた骨が皮膚を突き破っては無いようだ。しかし背中の肩甲骨の下あたりが痛くて息も苦しい。『どうもこれは肋骨も折れたような感じがします。』と女性店員さんに告げる。肺が損傷を受けていなければよいがと少し思った。
店員さんは携帯で直ぐ救急に電話し、ボクの言ったままの様子を告げてくれた。『救急車は10分少しで来るそうです、大丈夫ですか?お水でも飲みますか?』とペットボトルを持ってきてキャップを開け、渡してくれた。若い女性だが冷静で落ち着いていて、凄く優しい感じの方だ。
その間にもお客さんが僕を横目で見ながらお店を出入りする。『忙しいのにご迷惑をかけてすみません。』と何度も謝る。『かまいませんよ、でも救急車遅いですね。』
今日は渋滞しているから15分ほど遅れそうだと救急車から連絡が入る。
左胸が苦しい、ヘルメットを脱ぎ、手袋も脱ぐ。
家に居る次男に電話して、簡単に事を告げる。
自転車はお店のご主人が『倉庫に保管して置いてあげるから、心配しないでいいよ』と言っていただく。『家の者に引き取りに来て貰いますので宜しくお願いします。』と礼を言う。
そうこうしているうちにやっとサイレンが聞こえ、救急車が到着。
お店の住所と電話、女性の店員さんの名前をお店のレシートに書いて渡してくれた。
救急車に乗せられ、救急隊員からいろいろと質問される。背中のポケットからサイクリング用の財布を出し、健康保険証のコピーを隊員に渡す。
無線連絡のやり取りがあり、阪急 川西能勢口の協立病院に搬送しますと告げられた。最近はあの辺りはあまり通ったことが無い、う~んそんな病院あったかな?
救急車の外は見えないが、新道のほうの県道12号線を川西に向かって走っているようだ。
左腕は三角巾をして吊って頂いたが救急車が揺れて肩に激痛が走る『もっとゆっくり走れ』と救急隊長が運転手さんに言う。
新名神の工事が始まってから、ダンプや重機の大型車が増え、道路が傷んで救急車がよく揺れるのだそうだ。
右手で手すりを握り、歯を食いしばっていると、やっと病院に着いた。
続く。