お久しぶりです。いろいろと訳あって、暫らく筆をおいていました。
自転車には相変わらずチョコチョコと乗って走っておりますが、流石に梅雨明け後のこの暑さでは、お休みの日の早朝に2時間ぐらい走るのが老体にはちょうど宜しいようで・・・。
さて梅雨のさなかに、夏場の自転車部屋で遊ぶのに何かないかなぁと考えていた処、ヤフオクで興味を惹かれてついつい ポチってしまったのがこのフレームでした。
タイトルは、 mexico record cycles special
フォークは無く、画像も3枚だけ。出品説明では、廃業した古い自転車店に長期間吊るされていた未使用のクロモリフレームという事のみ。
出品画像では、メッキ部分は曇り、所々錆が出たような、全体が薄汚れた感じを受けました。
サイズや詳しい説明は全く無かったのですが、一目トップ540~550ミリ位だろうと推測でき、組めれば、自分が乗れるサイズだと思い、何よりも使われているチューブに惹かれて買ってしまいました。
さて届いた宅配便の梱包を解き、よくよく眺めてみると、前三角はやはりコロン
バスのスターシェーブチューブ(初期のジルコチューブ)でしたが・・・。
このチューブは1980年頃の物で、僕が持っているCOLNAGO ESAMEXICOと同じチューブのようで、そこに興味を惹かれました。
梱包を解いて、まず気ずいたのは、サイズの割に短めのヘッドチューブです。オークションの画像では斜めから広角レンズで撮った画像で、此処の短さには気が付きませんでした。
心なしかヘッドチューブの角度も、寝た感じに見えます。『これはひょっとしてフロント26インチのファニーバイクのフレームなんじゃないの?????』
FD直付けプレートとリヤエンドにはRDハンガー(ともにカンパっぽい)が付いているのに、リヤエンド寸法を計って見ると、なんと120㍉しか無い。
これは予想外で、126㍉くらいだろうと思っていました。
長年店内に吊るされていたようで、薄っすらとこびりついた埃と汚れを、丹念に落としてやると、総メッキの上に三色のトリコロールに塗られた部分は所々傷があるものの、メッキの状態はかなり良く、つぶしのチューブの窪みが錆びているように見えた部分もこびり付いた汚れでした。
フルメッキで胴抜きトリコロール塗装、と言う仕上げです。
フレームが未組み立てなのは間違いなく、各部のスレッドには塗料が残り、フェイシングや、リーミングをした跡も無く、ダウンチューブのワイヤー受けは塗装時の養生のテープが残ったままで、カンパ風のリヤエンドにもホィールを固定した痕がありません。
転写シート部分は、過去に浮き、剥がれ。またそのまま固着したような状態でした。
はっきりと読み取れるのはタイトルどうりのMEXICOとCYCLES SPECIALの文字列とアルカンシェルのマークのみでした。
この時点でいったんこのフレームはお蔵入りにしました。
8月になって、仕事が閑散期に入り、再度このフレームを引っ張り出し、こいつはファニーロードなのか前後700C のロードレーサーなのか、ホィールを仮組して僕の持っているエサメキシコやマスターと並べて、ジオメトリを見比べてみました。
フォークは手持ちの、コルナゴ純正のストレートタイプのプレサシフォークを刺してみました。
700Cのホィールを仮組し、2台並べるとほぼ同じようなジオメトリでした。
トップ、550㍉のマスターオリムピックとも並べ、見比べてみましたが、ほぼ同じサイズで同じジオメトリで作られていると確信しました。これでフアニーバイクではなかったと判り一安心。
チューブは同じコロンバスの物と思われますが、若干つぶしの入っている部分の長さが違いました。
FD台座付近は普通のパイプになっていて、台座下からBB付近までは、またつぶしが入っているという凝ったチューブです。
トップチューブには、リヤブレーキワイヤー内蔵の楕円ホールまで開いています。
この時代の物にしては、珍しい造りのフレームです。
ここからはネットの世界からこのフレームの調査を試みました。
いろいろと手を替え品を替え検索してみましたが、この文字列では、何も出てきませんでした。
ただ、このスターシェイブチューブはコルナゴと弟子のロッシンが好んで使用したという記事があり、特にロッシンでは最上級のフレームでこのチューブを使ったという記事があり、さらにロッシンで検索して、画像を探すと、そっくりの衣装のROSSINNのGHIBLI(ギブリ)と言う名のフレームの画像が見つかりました。
1987 Rossin GHIBLI
この画像のGHIBLIのメカはカンパCレコ時代ころの物でしょうか?
前三角のジルコチューブと言い、トリコロールの意匠と言い、リヤのブレーキ台座まで、ボクのフレームとそっくりですが、このフレームにはコルナゴやロッシンのようなラグのエンブレムの切り抜きや、製造主を伝える刻印などは何処にもありません。ただラグの形などはよく似ていました。 (BBラグ下に53とサイズを表す?刻印のみありました)
リヤエンド120㍉に合わせて組むとなると、ピスト車用ハブか、かなり古い、4~5速のボスフリー用のハブで組まねばならず、それに合わせて前後のディレイラ―を用意するとなると、ビンテージパーツにはあまり興味が無い僕の手には負えそうもありません。
少ない情報から推測するに、たぶんコルナゴかロッシンに近いイタリアの工房で造られたのには間違いなさそうですが、これ以上は何も見つかりませんでした。
もし何かご存知の方が居られましたら、情報頂けましたら幸いです。
追記
MEXICOと言う名とチューブ形態から、1970年代後期のメキシコでのアワーレコードにちなんだ名前なのは明らかですね。
手持ちのColnagoエサメキシコに近いフレームだと直感し、手に入れたフレームでした。
そうなるとColnago製かとも思えますが、Rossinの画像を見つけたのでまたわからなくなりました。
ネットでかなりの記事を読んだところでは、コルナゴやロッシンのフレームは日本では昔から人気があり、かなりの数が日本に入って来ていたようです。
中には未塗装のままのフレームで輸入されたりもしたそうです。
このフレームもあるいはノーブランドでイタリアに制作依頼し、国内で日本のショップブランド名で売られたりしたのかもしれません。
僕自身は60半ばですが、自転車弄りは未だ10年ほどのキャリアで、Cレコ以前のメカにはあまり興味が無く、知識も無く、手が出ません。
またそういう時代のメカで自転車を組んで、飾ったり、乗ることにも、正直あまり興味がありません。
クロモリフレームの最盛期は1990年代くらいまででしょうか?
現代の工房で作られるクロモリフレームもいいですが。クロモリフレーム最盛期の頃のコロンブスSLやSLXと言った、バネ感のあるフレームと、近代のコンポを組み合わせて、快適に走るのが僕の喜びになっています。
今回はちょっと古いフレームなので、Wレバー変速で組んで走らせてみようかなと、考えていましたが、120㍉エンドでは断念せざるを得ません。
しかし、ここまで調べて興味は深くなり、もう少しこのフレームの事を知れたらと記事にして見ました。
各部の画像をもう少し載せておきます。
リヤブレーキ台座の造形はRossinに似ていますね。