ウチの前を下校中の、小学生たちの会話が聞こえてくる。
「市会議員さんが、いままでずう~っと、政活費を生活費やと勘違いして、貰ってはったんやてぇ~」
「へぇ~、市会議員さんって、頭悪いんやね~」
「せやけど、奥さんにはこれは政活費やから、お前には渡せんお金やって言うてはったんやて~?」
「へぇ~、市会議員さんって、ウソつきやったんやね~」
「せやけどテレビの前では、恥ずかしそうにはしてはらへんかったよ~」
「へぇ~、市会議員さんって恥知らずやったんやね~」
長男は中学で生徒会の会長をしていた時期がある。
その中学に、教育や学校環境の向上に熱心な男の先生がいた。
数年後、長男が地元の高校を出て、神戸の大学に入り、寮生活をしていたころに、
その先生が、我が家を何度も尋ねてきて、「今度の市会議員選挙に立候補するので、
息子さんに私の後援会の幹事になって欲しい」という依頼だった。
長男は寮生活の為、住民票も神戸に移していて選挙権も無い。
長男にそのことを伝えると、勉強とバイトで忙しいし、『政治には関心は無いので丁重に断ってくれ』と言った。
何回か訪ねて来られて、その都度お断りをしたが、名前だけでもとかなりしつこく頼まれた。
名簿を見せられると、知った名前の同級生や、その父母の名前が何人も書かれていた。
が、一緒に生徒会を運営していた、親しかった同級生の名は一人も無かった。
あまりしつこいので、僕はこうきっぱりと言った。
『早世した父の遺言で、宗教と政治には深く関わるなときつく言われましたので・・・』と。
その後、その先生が二度と我が家を訪れることは無かったが、その先生はその時の選挙でトップ当選した。
確か6年後の2期目もトップで再選されたと記憶している。
風の便りで、この市会議員さんの活動結果が聞こえてくる。
どこどこの交通量の多い交差点を歩車分離にしたとか、
どこどこの街灯を、LEDで新設したとか・・・
僕はただ、教育現場で頑張っていてほしい方だったのにと思って、とても残念なことだなと思った。